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交通事故の被害に遭ったとき、加害者が任意保険に入っているのに、「保険は使わない」と言ってくるケースがあります。そのようなとき、被害者としてはどのように対応すべきなのでしょうか?
まず、加害者が任意保険を使わないケースの最も多い理由は、「翌年からの保険料があがる」というものです。事故を起こして保険を使うと、割引率が低下し、翌年からの保険料が増えてしまうのです。
残念ながら、任意保険を使うかどうかは、あくまで保険の契約者(一般的には事故の加害者)次第ですから、被害者側から「任意保険を使え」と強制することはできません。
しかしながら、保険会社が窓口になった場合には、やりとりや手続き面で簡易になることがあるのですが、加害者が保険会社を使わないとなると、被害者としても色々と動かなくてはならなくなります。
では、実際に加害者が任意保険を使わない場合には、どうすればよいのでしょうか?
1.警察を呼ぶ
加害者が任意保険を使わない場合でも、必ず警察を呼んで、事故の報告をしましょう。警察を呼ぶことにより、事故証明書等が後日入手できるようになり、後で説明する自賠責保険被害者請求の際にも使えます。
2-1. 相手と直接交渉をする
本来、加害者側の窓口となる保険会社がいないのですから、今後の治療費や車の修理代、最終的な慰謝料などについては、相手本人と直接交渉をする必要があります。
しかしながら、相手も交通事故の賠償について知識があるとは限りませんし、全く知らない相手との交渉は非常に大変ですので、弁護士に依頼した方がベターでしょう。なお、あなたの任意保険に「弁護士費用特約」がついている場合には、あなたが依頼する弁護士の費用は保険会社から支払われます。また、弁護士費用特約の利用だけでしたら、一般的には翌年以降の保険料があがることもありません。
2-2. 自賠責保険へ被害者請求をする
相手との直接交渉が難しいようであれば、相手の自賠責保険会社に「被害者請求」という手続きをして、最低限の賠償金を得るという手段もあります。この被害者請求は、相手(加害者)の承諾等は不要です。
相手の自賠責保険会社については、先に述べた「交通事故証明書」に記載されています。自賠責保険会社に連絡をし、「被害者請求をしたいので書式を送って欲しい」と申し出ると、被害者請求の申し込みセットが送られてきますので、手続きをすれば、最低限の治療費や休業損害、慰謝料などを自賠責保険会社から支払ってもらうことができます。
もっとも、自賠責保険の賠償額は、一般的な適正な賠償額よりも低いことが多いです。その場合、不足分については、加害者本人に請求していくことになります。
いずれにしても、加害者が任意保険を使わないと言っている場合には、もめるケースが多く、また、被害者としても手続きや交渉が大変なことが多いので、早期に弁護士に相談をされることをお勧めします。