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搭乗者傷害保険とは、任意保険に特約として附帯されていることが多い保険で、保険契約者の自動車で事故に遭った場合に、定額の保険金がおりるというものです。
では、この搭乗者傷害保険を受領したら、加害者から受け取る賠償額が減ってしまうのでしょうか?
あるお金を受領したら、それを賠償額から控除することを、「損益相殺」と言います。たとえば、交通事故被害に遭った際に、労災から治療費を受領した場合や、自賠責保険から慰謝料を受領した場合には、その分は加害者から受け取る賠償額から差し引かれます。これが損益相殺です。
搭乗者傷害保険については、少しややこしいのですが、最高裁判例では、損益相殺の対象とはならないとされています。しかし、この最高裁判例の後でも、多くの下級審裁判例において、搭乗者傷害保険を受領した際には、加害者から受領する慰謝料の額を考慮する(減額する)という判断がなされています。この減額幅としては、搭乗者傷害保険を受領した金額全部を減額するというわけではなく、搭乗者傷害保険で受領した額の数割程度(おおむね5割以下)、慰謝料を減額するという判断がなされていることが多いようです。
したがって、搭乗者傷害保険を受領した場合には、加害者側から受領する慰謝料の金額が、少し減る可能性が高いと考えておいた方がよいかもしれません。